アレ

アレです

妄想教の1:現実排他の武陵桃源

「自分だけの世界こそが、唯一の理想郷である」

 

 妄想教は現実への執着を捨てることが肝要である。

 が、妄想という曖昧な世界では、どうしても上手くイメージが出来ないものだ。

 そこで、世界そのものを妄想で創造することをオススメする。

 

 やることは簡単だ。そこらへんに転がっている異世界ファンタジー系ラノベのように、憧れの新天地を舞台にするもよし。

 学園ラブコメのように、現実世界を元にしてもう一度青春を謳歌する舞台にするもよし。

 早い話が、理想の世界、理想の自分、理想の環境、理想の展開を、すべて自分の妄想で済ませてしまおうということだ。

 そしてそれは妄想小説としてWord文章にでも書き連ねておくと尚良い。

 文字を打ち込むたびに世界が動き、妄想の中の自分が生きていることを実感できると思う。

 

 世の中は自分の都合のいい妄想を恥ずべきことだとする風潮がある。

 まあ確かに荒唐無稽な妄想は自分で見ていても恥ずかしくなるかもしれないが、そこは自分の抱く理想の諸々への愛によってカバーできるはずだ。

 というか別に人の目に曝け出すわけでもないし、自分だけの世界で、自分が満足できればそれでいい。本当にただそれだけのことだ。

 

 現実は思うように行かないものだ。

 自分が正しいと思っていても社会的には正しくなかったり。

 社会の不正が思いのほかに法によって裁かれず、蔓延っていたり。

 理不尽な人間や不条理な社会によって圧迫されたり。

 妄想は抑圧されたリビドーを解放する一種の手段だ。なんら恥じることなどないのだ。

 むしろ妄想こそが、現実の自分の背を押してくれることさえありうる。というか俺の人生は概ねそうやって生きてきた感じだ。

 

 人々よ、妄想せよ。きっと真の救いを見るだろう。